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成田・都心直結の北千葉道路、両端で難工事 早期全通の壁 


 「この国の国際競争力を左右しかねない」。千葉県の熊谷俊人知事はそう断じる。大げさではなさそうだ。「北千葉道路」――成田空港と東京方面をほぼ一直線に結ぶ高規格道路の構想だ。


 全長約43キロのうち約6割は開通、またはほぼ目星がついている。しかし、残る東西端は用地買収を含む難工事が必至で、知事は国も巻き込んで早期の全線開通を目指す。


 開港当時は「最も不便な国際空港」という世界的に不名誉なレッテルを貼られてきた成田国際空港だが2010年に成田アクセス線が開業。最高時速160㌔を出す京成スカイライナーを使えば、旅客は東京都心に40分以内で出れるようになった。


 もはや米ニューヨークのケネディ空港などより利便性はよほど良くなった。


 鉄路は整った。課題はトラックやバスなど物流・人流を左右する道路だ。成田は都心から約70㌔の距離がある。


 現在は東関東自動車道経由が一般的だが、遠回りのうえ、東関道と京葉道路がX字に交差しボトルネックとなる千葉市内や渋滞が激しい湾岸道路を経由する。海外の主要な国際都市の空港と比べても利便性の高い羽田空港に太刀打ちできない。


 一方、人気の羽田の発着のキャパシティーは限界。とりわけ貨物の受け入れがもはや厳しい。

 今後の滑走路拡張に伴い「旅客だけでなく貨物も重視」を狙う成田空港と千葉県にとって、東京外郭環状道路(外環道)と結ぶ「北千葉道路」の早期全通は悲願だ。


 「鉄道との交差とか、最後のところを結ぶのがなかなか難しいんだよね」。事情に精通する成田商工会議所幹部はため息をつく。東関道とのジャンクション(JCT)を整備して、そのまま新空港高速道路につなげるのが計画だ。残り4㌔弱。こちらは主に千葉県が建設主体を担う。


 だが北千葉道路東端の成田市内の建設と比べて、格段に難しいのが外環道へと結ぶ西側の残り9㌔部分だ。まだ鎌ケ谷市までしかできていない。ここから先は入り組んだ東京近郊の住宅街に加え、地域名産のナシ園も多くある。整備は地下と高架を組み合わせる計画だが、地価高騰のあおりもあり、建設費用も時間も膨らみそうだ。


国(国土交通省)が24年度から動き始めた。北千葉道路西端の市川市や松戸市の用地買収に乗り出す方針を決めた。「成田は国内最大の貿易港。この道の整備は国策でしょ」。国交相を工事現場に招くなど熊谷知事が粘り強く説得してきた。


北千葉道路は、京成電鉄グループが運営する成田アクセス線とほぼ並行しており、中間部は用地が確保されている。全線開通すれば、すでに人気を集める印西市など千葉ニュータウン地域の都心アクセスも高まる。


 もちろん、国交省もこの道路の重要性は理解している。それは外環道を丁寧に走行すれば分かる。外環道のトンネル部分にすでに「北千葉ジャンクション」のインターが周到に準備されているのだ。


 未開通部分は残り3〜4割ほど。「いつ全線開通するのか」と県に問うても「20年代は無理。早くても30年代以降になる」(関係者)と返ってくるのは仕方があるまい。


 成田空港と日本の貨物輸送に関し、この高規格道路の開通は千葉県にとって断トツの最重要案件。県側は「とにかく1日も早く」(熊谷知事)と力を尽くしている。

                                   (佐藤大和)

 

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